まず、親御さんにお伝えしたいこと
「この子の”できないこと”を、どうにかして”できる”ようにしなければ」
「療育で、この行動を”直して”もらわなければ」
お子様を想うがゆえに、そう考えて日々努力を重ねていらっしゃる
親御さんは本当に多いと思います。
その一生懸命なお気持ち、私たち施術者も日々の臨床で深く感じています。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。
もしその「人と違うところ」が
“治すべき欠点”ではなく、”その子だけが持つ大切な個性や才能”だとしたら?
もし「問題」が「その子」にあるのではなく、
「その子に合っていない環境」にあるとしたら?
そう考えると、支援の方向性がまったく変わってきます。
今、世界で起きている「支援のパラダイムシフト」
カナダ、北欧諸国、オーストラリアなどでは
今、障がい児支援の分野で大きな変化が起きています。
それが「NCM(Neuro-Affirming Care Model = 神経多様性を肯定するケアモデル)」という新しい考え方です。
NCMの核心的な考え方:
自閉症、ADHD、学習障害といった発達特性は、「病気」や「欠陥」ではありません。
それは「脳の自然なバリエーション」――つまり、人間本来の「個性」なのです。
右利きと左利きが違うように、脳の働き方にも多様性がある
ただそれだけのことなのです。
「医療モデル」と「NCM」― どこが決定的に違うのか
【従来の「医療モデル」】
基本的な考え方:
障がいは「病気」であり、「治すべきもの」と捉える
支援のゴール:
「多数派の型」に当てはめるために、行動を「修正」する
具体的な支援例:
- 無理にでも目を合わせる練習をさせる
- 感覚過敏があっても「我慢」させる
- 常同行動(手をヒラヒラさせるなど)を「やめさせる」訓練
親御さんが感じやすい感情:
「治らない=私の努力が足りない」という罪悪感や焦燥感
【世界標準の「NCMモデル」】
基本的な考え方:
障がいは「個性」「特性」である。
問題は「その子自身」にあるのではなく、「その子に合っていない環境」や「身体のストレス状態」にあると考える
支援のゴール:
その子の特性を「活かす」。
その子が最もストレスなく、自分らしく生きられる「環境」と「身体の状態」を整える
具体的な支援例:
- 眩しさが苦手なら→サングラスや帽子の使用を推奨
- 音の刺激が辛いなら→イヤーマフ(防音具)の活用
- 常同行動は→「脳が安心するための自己調整行動」として、安全な環境で容認・尊重する
親御さんが感じる感情の変化:
「この子を変えなくていい」「環境や身体を整えればいいんだ」という安心感と、具体的な支援の方向性
NCM先進国では、どんな支援が行われているのか
NCMが浸透している国々では、「Nothing About Us Without Us(私たちのことを、私たち抜きで決めないで)」というスローガンが重視されています。
これは、専門家や親が一方的に「この訓練をしなさい」と決めるのではなく
当事者である子ども自身が「何に困っていて、どうして欲しいか」を最優先に考えるという姿勢です。
【教育現場での取り組み(北欧・カナダ)】
インクルーシブ教育(包摂教育)が基本:
- 支援級や特別支援学校に「分離」するのではなく、通常学級の中でその子に必要な「合理的配慮」を徹底
- 静かな個室で試験を受ける権利
- 感覚を休める「クールダウン・ルーム」の常設
- 座り方や姿勢の選択肢を増やす(バランスボール、スタンディングデスクなど)
【社会での取り組み(オーストラリア・イギリス)】
ストレングス・ベースド(強みに基づく)アプローチ:
- 「できないこと」を数えるのではなく、「できること・得意なこと」を評価
- その特性が活きる職場や役割に繋げる社会システムの構築
- 例:細部への集中力を活かしたプログラミング職、パターン認識能力を活かした検査業務など
当院が目指す「NCM×身体アプローチ」
NCMの考え方は、私たち鍼灸マッサージまんぷくが目指す施術への考えと深く繋がっています。
私たちの基本方針:
「その子を”普通”に変える」のではなく
「その子が自分らしく生きられる身体の土台を創る」
具体的には――
- 重力ストレスへの適応力を高める姿勢調整
- 気圧変動による自律神経の乱れを整える施術
- 感覚統合を促し、身体の内側から安定感を育むケア
環境を整えることも大切。
でも同時に、その環境に”適応できる身体の芯(コア)”を育てることも、とても重要なのです。
世界は「その子の特性を活かし、周りの環境を整える」方向へ
従来の支援: 「その子を変える」努力
↓
これからの支援: 「その子の特性を活かし、周りの環境を整える」努力
そして同時に: 「その子自身が、環境変化に適応できる身体を育てる」サポート
これが、NCMの時代における理想的な支援のかたちだと、私たちは考えています。
次回予告
「でも、日本の療育ってどうなの?」
「NCMにも注意点はあるんじゃない?」
次回は、日本の療育の「優れた点」と「課題点」、そしてNCMの考え方における「注意すべきポイント」も公平に比較しながら、当院が考える「理想のサポート」の全体像についてお話しします。
【親御さんへ】
あなたのお子様は、「治すべき存在」ではありません。
「その子らしさを、最大限に輝かせるサポートを必要としている存在」です。
私たちは、そのお手伝いをさせていただきます。
鍼灸マッサージ まんぷく 
