前回を振り返って
前回、世界で広がる「NCM(神経多様性を肯定するケア)」についてお話ししました。
「特性を無理に治さなくていい」という考え方に、ホッとされた親御さんも多いかもしれません。
でも同時に、こんな不安も感じていらっしゃるのではないでしょうか?
「じゃあ、今うちの子が受けている療育は、間違っているの?」
「私がこれまで頑張ってきたことは、無駄だったの?」
決して、そんなことはありません。
今回は、世界の「NCM」と日本の「療育」を公平に比較しながら
当院が考える「今、本当に必要なケア」についてお話しします。
1. 日本の療育――その「素晴らしさ」と「見えにくい課題」
【日本の療育の優れている点】
日本の療育には、世界に誇れる素晴らしい点がたくさんあります
① きめ細やかさと安全性
日本の療育は非常に丁寧で、安全な環境でお子様を預かってくれる体制は世界トップクラスです。
スタッフの献身的な姿勢、清潔で整った施設環境――これは決して当たり前のことではありません。
② 環境を整える高度な技術
「構造化」という手法をご存知ですか?
- 視覚的なサポート(絵カード、スケジュール表など)
- 空間の明確な区切り(活動場所と休憩場所を分ける)
- 予定の見える化
これらによって、お子様が「次に何が起こるか」を予測でき、安心して過ごせる環境を創る技術は、日本の療育の大きな強みです。
【見えにくい課題――親御さんを苦しめる構造】
一方で、日本社会には「皆と同じであること」を強く求める文化的背景があります。
その結果、療育の現場でも―スタッフに悪意はまったくなくても―
無意識のうちにこんな空気が生まれがちです:
「(社会で困らないように)訓練し、修正しよう」
「もっと目を合わせられるように」
「もっと座っていられるように」
「もっと集団行動ができるように」
このプレッシャーが、親御さんに「修正できないのは私の努力不足」という過剰な責任感と罪悪感を植え付けてしまう構造になっている可能性が有るのです。
お子様のためを思って始めた療育が、親御さん自身を追い詰めている――
これは、システムの「課題」であって、親御さんの「責任」では決してありません。
2. 世界の「NCM」――実は最も現実的な考え方
「NCM」と聞くと、こんなイメージを持たれるかもしれません:
「理想論でしょ?」
「社会全体を変えるなんて、無理でしょ?」
でも実は、NCMの核心は非常に現実的です。
【NCMの本質的な3つの柱】
① 特性の肯定
お子様の特性を「罪」「欠点」「恥ずかしいもの」とは決して考えません
それは「その子の個性」であり、時には「才能」にもなり得るものです
② 環境の調整(これが最重要)
「その子に合っていない環境」を、まずは身近なところから整えていく――これが最優先です。
具体例:
- 騒音が苦手なら→イヤーマフや静かな部屋の確保
- 眩しさが辛いなら→照明の調整やサングラス
- 急な予定変更が不安なら→視覚的スケジュール表
- 座り続けるのが辛いなら→立ち机やバランスボール
これは「社会を変える」大げさな話ではありません。
「今日から家庭でできる、具体的な工夫」なのです。
③ 適応力の育成
環境を整えながら、同時に「お子様自身が環境変化に適応できる力」も育てていく。
【なぜこの考え方が親御さんを救うのか】
従来の考え方:
- 「この子を変えなければ」→変わらない→罪悪感→疲弊
NCMの考え方:
- 「環境を整えよう」→今日からできる→希望→親子ともに楽に
「目の前の環境を最適化する*ことに集中できると、親御さんは「いま、この子のためにできること」が明確になります。
これが「無力感」から「希望」への転換点になるのです。
3. 当院が目指す「最高のバランス」――理念と現実の融合
ここまでお読みいただいて、こう感じられたかもしれません:
「日本の療育にも良さがある」
「NCMにも納得できる」
「じゃあ、どうすればいいの?」
当院の答えは明確です――「両方の良い点を採用する」
【当院のアプローチ】
理念(心) = NCM
↓
お子様の特性をそのまま肯定して体を診ます
「治すべきもの」とは考えません
+
施術(身体) = 適応力の育成
↓
しかし理想だけでは生きていけません
身体に「環境ストレスに適応できる芯」を創ります
【なぜ「身体の芯」が必要なのか】
どれだけ環境を整えても――
どれだけ理念が素晴らしくても――
日本社会の同調圧力や地球の重力ストレス、気圧変動、姿勢の乱れ……
これらの「物理的ストレス」は、今この瞬間も、お子様の身体に「適応不全」を起こしています。
その結果:
- 寝つきが悪い
- すぐにパニックになる
- 姿勢が保てない
- 体調が安定しない
- 感情のコントロールが難しい
これらは「心の問題」でもあり、「身体の問題」でもあるのです
4. 当院の施術が「芯」を創る3つの理由
① テーピングによる固有感覚への刺激
皮膚・関節に適切な刺激を入れることで、「自分の身体の輪郭」が脳に明確に伝わります。
→ 身体の軸が安定し、姿勢保持が楽になります。
② 手当てによる安心感の入力
触れる、包む、支える――人の手の温もりは、自律神経を整える最も原始的で強力な刺激です。
→ 過緊張が解け、リラックスできる身体になります。
③ 温活による内臓の安定化
内臓が冷えて硬いと、自律神経は乱れ続けます。温めてゆるめることで、身体の内側から安定します。
→ 睡眠、排泄、食欲が整い、情緒が安定します。
5. まとめ――「芯」が整えば、すべてが変わる
当院の施術は、こんなアプローチです:
「身近な環境を整える努力」
+
「お子様自身の身体に『芯』を創り、どんな環境ストレスにも”しなやかに適応できる力”を育む」
これが、最も現実的で、最も効果的なアプローチだと、私たちは確信しています。
そして、親御さんにお伝えしたいこと
「芯」が整えば――
- お子様の「不安定さ」が減ります
- パニックの頻度が減ります
- 親御さんの「罪悪感」も、自然と軽くなります
なぜなら、「変えなければ」というプレッシャーから解放されるからです。
あなたは、「この子を変える」必要はありません
ただ、「この子が自分らしく、楽に生きられる環境と身体」を整えればいい
それが大切なのです
【親御さんへのメッセージ】
あなたはもう十分、頑張っています。
これ以上、「変えなければ」と自分を責めないでください。
私たちは、お子様の「特性」を否定しません。
そして、あなたの「努力」も否定しません。
ただ、少し視点を変えて――
「その子に合った環境と、しなやかな身体の芯」を一緒に創っていきませんか?
私たちが、全力でサポートいたします。
鍼灸マッサージ まんぷく 