触れることで脳は「安全」を学ぶ:タッチが持つ計り知れないチカラ
前回、私たちは皮膚が外側の情報をキャッチする「環境センサー」であり、脳がその情報をもとに「司令塔」として全身に指令を出していることをお伝えしました。
お子さんの身体が過敏になったり、感情が不安定になったりする時、それは皮膚センサーが「危険なノイズ」を拾いすぎ、脳が「常に警戒せよ!」という誤った警報を出し続けている状態です。
この警報を解除し、脳に「ここは安全だよ」という最も強力なメッセージを伝えることができるのが、「優しいタッチ」、すなわち適切な物理刺激です。
当院の施術哲学:心理学と専門技術で「安心回路」を育む
私たち鍼灸マッサージ師は、単なるリラックス目的ではなく、脳科学と行動心理学に基づき、「触覚」を治療の核として捉えています。
- 皮膚センサーへの正しい情報入力と調整: 当院の施術は、まずお子さんの身体に合わせた全身を包み込むような優しい調整マッサージから始まります。この心地よい触覚刺激は、皮膚の神経を介して脳へダイレクトに伝達されます。脳はその刺激を「愛情」や「安全」と判断し、オキシトシン(安心ホルモン)を分泌。このホルモンがストレスホルモン(コルチゾール)の働きを抑え、自律神経を「リラックスモード」(副交感神経優位)へと切り替えます。
- 安心を伝える言葉かけと心理的アプローチ: 施術中には、行動心理学に基づいた肯定的な言葉かけや、安心感を与える声のトーンやリズムを意識的に使います。これは、体はリラックスしているのに加え、脳に「この空間は安全だ」と積極的にインプットさせるための大切な施術の一部です。この手法により、過敏な感覚からくる脳の混乱(警報)が鎮まり、情緒が安定する土台が作られます。
このメカニズムこそが、私たちが「タッチマッサージ講習会」を開催し、親子の触れ合いを大切にしていただくようお伝えしている理由です。
優しいタッチは、脳と腸を繋ぐ「安心のパイプ」
皮膚への優しいタッチは、中央司令塔である脳を安定させるだけでなく、腸という「内側のセンサー」にも良い影響を与えます。
脳と腸は、迷走神経という太い神経で強く繋がっています(脳腸相関)。
タッチによって脳が「安心」を判断すると、その信号は迷走神経を通じて腸に伝わり、緊張して滞っていた腸の動きを活発にします。
- 外側のセンサー(皮膚)への適切なアプローチが、中央司令塔(脳)を安定させ、内側のセンサー(腸)の調子まで整える。
この三位一体の連携こそが、当院の調整施術の核心です。
当院でしか提供できない「専門的な安心感」
ご家庭でのタッチは愛情を育みますが、私たち鍼灸マッサージ師は、解剖学に基づき、ツボや経絡の流れを意識して全身の緊張を根本から解放する専門技術を持っています。
優しいタッチに加え、全身のツボや筋肉に適切な調整マッサージを行うことで、ご家庭では届きにくい深部の緊張やコリを緩め、お子さん自身が気づいていない体の不快なノイズを解消します。
不安定な情緒、夜の不眠、過敏な感覚…。これらは、脳が安心の信号を求めている証拠です。
次回は、お灸と手当ての持つ「温熱のチカラ」と「安心感」が、薬に頼らず「内側のセンサー(腸)」をいかに安定させ、情緒や睡眠の改善に繋がるのかを詳しく解説いたします。
✨ 不安な「警報」を解除し、安定した毎日へ。
「優しいタッチで、本当にこの子の過敏さが落ち着くの?」そう感じたら、ぜひ一度ご相談ください。私たちの専門的なタッチ施術で、お子さんの安心回路を育てます。
鍼灸マッサージ まんぷく 
